小松元是
研究開発部 研究室
2011年入社
さあ、詳しく見ていきましょう。
1952年の創業以来、
わたしたちオリエンタルエンヂニアリングは
熱処理技術というコアテクノロジーで
日本のものづくりを支えてきました。
私たちの最大の強みは、世界に誇る技術力です。競合他社は、名だたる大手メーカーばかり。業界において常に先手を打ち、日本、中国、アメリカ、ヨーロッパなどで様々な特許を取得してきました。近年では、世界で初めて、熱処理加工を上回る強度付与を可能にするセラミックコーティング技術「プラズマCVD」処理を量産化する装置を開発。また、環境への配慮も重視し、最新型の真空浸炭炉(火を使わない熱処理設備)も開発しました。
1967年 1月 | 滴注式浸炭窒化炉「UNIC」に関し、日刊工業新聞社より「1966年十大新製品」賞受賞 |
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1980年 1月 | 光輝熱処理炉スペリア「SPERIA」に関し、日刊工業新聞社より「1979年十大新製品」賞受賞 |
1992年 3月 | プラズマCVD法が、日刊工業新聞社・協和中小企業振興財団共催の第4回「中小企業優秀技術・新製品賞」を受賞 |
1996年11月 | 「量産型プラズマCVD装置による耐熱性TiAlN被覆技術の開発」に関し、財団法人素形材センターより第12回「素形材産業技術賞」受賞 |
2004年 5月 | 「プラズマCVD法による金型へ硬質皮膜被覆技術」に関し(社)日本熱処理技術協会より第1回「技術開発賞(杉山賞)」を受賞 |
2007年 6月 | 「離型性に優れたダイカスト金型用プラズマCVD法によるTiAlSiCNO膜の開発」が第17回型技術協会「技術賞」を受賞 |
2007年 6月 | 経済産業省・中小企業庁により「2007年度 元気なモノ作り中小企業300社」に選ばれる |
2007年 6月 | 「プラズマCVD法によるTiAlSiCNO膜の開発」に関し第17回型技術協会賞の「技術賞」を受賞 |
2007年11月 | 「プラズマCVD法による高離型性金型表面処理技術の開発」が第23回素型材産業技術賞・「中小企業庁長官賞」を受賞 |
2008年 2月 | 「雰囲気制御による減圧表面改質技術の開発」が(社)表面技術協会から平成20年度「技術賞」を受賞 |
2009年 5月 | 「プラズマCVD法によるTiAlBCNO膜の各種特性」が(社)日本ダイカスト協会の平成20年度「小野田賞」を受賞 |
2011年 1月 | 「CO2排出を極限まで削減した環境対応高性能ガス浸炭炉(N-BBH)」が平成22年度「彩の国産業技 術大賞」を受賞 |
2013年11月 | 「ダイカスト金型用耐久表面処理技術の開発」が「第29回素形材産業技術賞(奨励賞)」をトヨタ自動車と共同受賞 |
2014年11月 | 「窒化ポテンシャル制御システム付きガス軟窒化装置」が2014年度「川越ものづくりブランドKOEDO E-PRO」奨励賞を受賞 |
熱処理とは、金属材料を「赤めて冷ますこと」です。「赤める」とは金属材料を赤くなるまで加熱し、冷ますとは「冷却」を加えることで形状を変えることなく金属材料の性質を向上させる加工技術のことです。
金属材料の性質を向上させるとは、強さ、硬さ、粘り、耐衝撃性、耐摩耗性、耐腐食性、耐食性、被削性、冷間加工性などを向上させることです。
熱処理は見て判別がつきませんが、製品の高い品質と性能の信頼性を支える基盤技術として、自動車、輸送機械、建設機械、産業機械、家電、工具など多くの工業製品・金属部品は熱処理工程を経て最終製品化され広く深く私たちの生活に浸透しています。
当社は中小企業ながら少数精鋭のメンバーが中心となって創業から70年以上存続してきた会社です。先輩たちはチャレンジ精神旺盛に失敗を恐れず開発、改善を重ね、そこから多くを学び自分たちの固有の技術、ノウハウを蓄積して現在につなげています。そのDNAを受け継ぎ、現在、金属熱処理、表面処理業界では大企業に負けず劣らずその存在価値を高く評価されています。世の中に先例が無くとも、その時々に望まれる社会の要求事項に合致した最新鋭の製品、技術の絶え間ない開発、改善を続けるだけでなく、仕事の中の無理、無駄、不合理事項を常に見出して削減し、効率の良い仕事を身につけ、顧客、社会、会社(社員)のいずれもが満足度を高められる共存共栄の実現を目指していきます。
チャレンジや失敗を恐れずそこから学び、人がやらない事でも立ち向かう強い意志を持ち、決して教えを請うばかりで無く自分の考えを持ち、工夫実行し、仕事の中の高みを常に目指して下さい。チャレンジ無き道に進歩発展無し、今の世の中は、先人たちの誰かが苦心したものの積み重ねで出来ている。
「誰かがやる」のでは無く「自分がやる」こと。面倒なこと、困難なことでも、「自分には関係ない」という姿勢では、成長できないし、いつまでも頼りにされない。
是非若い皆さんの力を高め結集して輝かしい社会を作る一翼を担って下さい。
代表取締役社長 小崎一雄
当社熱処理部門は、浸炭焼入れ焼き戻しをはじめ浸炭窒化、軟窒化、ステンレス窒化、プラズマコーティング、高周波、真空焼入れ、焼鈍と幅広く対応している。特に真空浸炭処理は、カーボンニュートラル・脱炭素・CO₂削減に繋がり、地球にやさしい設備となります。
又、使用設備は自社製品であり、熱処理をする側(使用する目線)からの改善を設備に反映出来、より良い設備製作に反映できます。設備工場は熱処理工場に隣接しており、故障時は素早く対応出来、休止時間短縮が図れるメリットがあります。
当然ソフト開発も自社製であり、川越第二工場は効率的に省人化、自動操業に対応できる事が挙げられます。
当社が開発したプラズマCVDコーティングが実用化されるまでは、1000℃の高温でコーティングするCVDと、個体金属を蒸発させて450℃程度の温度でコーティングするPVDが世の中のコーティング方法の主流でした。
1000℃のCVDでは高精度に仕上がった金型が高熱による変形や、柔らかくなってしまう等の欠点がありました。またPVDは低温で精度の狂いは無いものの膜の密着性が悪く、穴の中にまではコーティングが出来ないという泣き所がありました。
プラズマCVDは470~550℃という低温領域の温度帯でのコーティングを可能にすることに成功しました。従来1000℃の高温での不具合を解決して高精度の金型に精度を保証した高機能な皮膜が提供可能となりました。またPVDではコーティング不可能だった小さな穴内径や狭いミゾの隙間にもコーティングが出来ることが実証された結果、特殊な金型にも用途が広がり、自動車部品や医療機器、航空宇宙産業分野にも応用されるというオンリーワンのコア技術になっています。
他社とは違い、ハード、ソフトの両方を自社開発で完成させていることがオンリーワンと宣言出来る所以です。
プラズマCVDの優れた性能が広く認知されたことにより、日本を代表する自動車メーカーの金型図面にコーティング方法を当社のプラズマCVDと指定されるまでになりました。自動車業界は100年に一度という大きな変換期を迎えておりハイブリッド化から電気自動車、燃料電池車という世界的な流れが加速しています。
未来のクルマに求められる要求は部品も例外ではなく、高性能化や安全性向上そして、CO2排出削減という環境にやさしい製造プロセスが模索されています。
安定した品質で部品を製造可能な鍛造・プレスという塑性加工で欠かせない金型は益々その高性能化や付加価値の高いものが求められる時代が到来することが予測されています。プラズマCVDは時代の流れにマッチした高機能皮膜を開発することにより、SDGsの要求にも応えられる技術に成長していくものと確信します。
当社では主に鋼の熱処理(金属製品に要求される所要の性質を付与する目的で、雰囲気、加熱、冷却、圧力、電磁気などの組み合わせによって行う処理)を行う設備を製造しています。熱処理は自動車部品、台所用品、電化製品など身の回りのものに多く利用され、日常生活からは切り離せないものです。鋼は熱処理を行うことで様々な機械特性を付与することが出来ます。例えば部品表面から炭素や窒素を浸入拡散することにより、表面硬さを増したり、あるいは組織を均一にすることにより、錆びにくくしたりまたは、加工をしやすくしたりすることが出来ます。このように当社では鋼をそれぞれの用途にあった特性にするための設備の製造販売と、それら設備のメンテンス・補修工事を行っています。また、これら長年培ってきた熱処理技術を基にして、お客様へのソフト技術の指導とアドバイスも行っています。
鋼におけるガス雰囲気熱処理(焼入、浸炭、浸炭窒化)には大きく分けて滴注式と変成式の2つの方法があります。オリエンタルエンヂニアリングでは主にその中でも滴注式設備の製造販売を行っています。
滴注式ガス浸炭は変成式と比較して浸炭の元になるCOガス分圧が高くなっています。CO分圧が高いことにより同一ロット内の浸炭均一性が良く、また、浸炭処理時間を短縮することが出来ます。さらに、供給ガス量が他方と比べて少ないため、CO2排出量とランニングコストの低減にもつながります。
熱処理設備を取り巻く環境は日々厳しくなってきています。熱処理の性質上、高温でかつ多くのCO2ガスを排出するなど環境負荷が大きいためです。世界的にカーボンニュートラル・脱炭素が問われる中、熱処理業界においてもこれらに対応することが急務となっています。当社では滴注式雰囲気を利用することで、少なからず環境影響の低減につなげてきましたが、さらに装置の改善改良を継続的に行うことで、今まで以上の負荷低減が達成されています。最近では、CO2ガスを排出しない熱処理方法として真空浸炭炉が注目されていますが、当社においては、より進化した真空浸炭炉と、環境対応型設備の開発販売を他社に先駆けて行っていきます。
研究開発部門では、お客様のニーズや社会のニーズに合った製品・サービスの開発に取り組んでいます。設備部門及び加工部門からの様々な声を吸い上げ、そして、協力を得ながらで開発を進めています。従って自社に設備部門・加工部門を有することが研究開発を進めるにあたり大きな強みとなっています。これまでの概念に捉われない広い視野を持ち、新規分野も見据えた技術開発も行います。また、学会や講演会へも参加し、社外への技術的アピール、情報収集なども行っています。
脱炭素・カーボンニュートラルといった社会の動き、或いは省エネといったテーマで進めています。
また、我社の強みであるセンサ制御を用いた高品質処理などの研究開発に取り組んでいます。